小説「桑の実」や「霧の雨」の作者、鈴木三重吉を「幽遠な人生の寂しさを持った絵のような美しい芸術を描いた人」と小川未明は称えている。
夏目漱石に師事し、叙情的な作風の小品を書いていた三重吉が、童話に転換したのはなぜか。童話を書き始めたのは、三重吉三十六歳、長女すずが生まれた年だ。幼い娘に読み聞かせたいという父親のささやかな愛情からのことであろう。わずか九歳で母を失った三重吉だからこそ、誕生した我が子に、こうした形で愛情を表現したのではないだろうか。これが、芸術性の高い童話の創作をめざした児童文学雑誌『赤い鳥』発刊のはじまりといえる。新人育成にも力を注ぎ、大正七年の創刊から十八年間、通刊一九十四冊にもなった。
墓もなんとなく童話を感じさせる。自然石をちょっぴり刻んだ墓が印象的で、語りかけたくなるような雰囲気だ。
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