宗派による違い
- 仏教の各宗派の教義により独自の決まりがあります。
お寺の墓地では宗派の決まりがあります。例えば「戒名」は宗派により独自の決まりがあります。浄土真宗や日蓮宗では、「戒名」と言わず「法名」と言います。 - ■天台宗
- 「戒名」は、院号・道号・戒名・位号の基本からなり、天台宗の特徴を示す特別なものはありません。
「墓石」は、戒名を正面の竿石に彫る場合は、梵字の「ア」字(大日如来を表す文字)、または「キリーク」(阿弥陀如来を表す文字)を上につけることが多いようです。 - ■真言宗
- 「戒名」の前に「ア」字(大日如来を表す文字)をつけることがあります。
「墓石」は、戒名の上にも梵字の「ア」字(大日如来を表す文字)をつけます。 - ■浄土宗
- 「戒名」は特に在俗戒名に「誉」字をつけます。また浄土系の「時宗」では、男性に「阿」字(阿弥陀如来)、女性に「弌(いち)」字をつけることがあります。
「墓石」は、戒名の上に梵字の「キリーク」(阿弥陀如来を表す文字)つけたり、戒名の代わりに「南無阿弥陀仏」と彫ることもあります。 - ■浄土真宗
- 浄土真宗には授戒がないので「戒名」と言わず「法名」と言います。法名の前に男性は「釈」字を、女性は「釈尼」字をつけます。浄土真宗では、院号・道号・位号はありません。位牌もありません。また死後の霊魂を認めませんので、追善供養や卒塔婆はなく、お盆などの習慣も他宗と異なった解釈をします。
「墓石」には、「南無阿弥陀仏」「倶所一処」と彫ることが多く、梵字も使いません。 - ■禅宗(臨済宗・曹洞宗)
- 「戒名」は基本的に天台宗と同じです。特徴を示す特別なものはありません。
「墓石」には、上部に「円相」という円が書かれることがあります。時に「南無釈迦牟尼仏」と書くこともあります。 - ■日蓮宗
- 「戒名」と言わず「法号」と言います。女性には「妙」字をつけるのが特徴です。
「墓石」には、独自のヒゲ文字で「妙法蓮華経」の文字を書くことが多く、特にこうした文字をヒゲ題目と呼んでいます。また竿石に法号や「○○家之墓」を彫る場合には、上部に「妙法」の文字を入れることがあります。