自宅で危篤になったとき
[3] 臨終
- ■末期の水
- 医師により臨終が告げられると、遺体のまぶたを閉じて、両手を合掌させます。
その後、「末期の水」を取ります。これは仏教の教えから来た習わしで「死に水」ともいい、冥途への旅立ちの際に、故人に水を飲ませて元気付けるといった意味があります。
故人に水を与えるには、新しい筆の穂先か割り箸の先にガーゼか脱脂綿を白糸でくくりつけたものを使います。この用具は家族が用意します。
「末期の水」を行う順番は、一般的に故人と血縁の深い人が先に行うことになっています。例えば夫が亡くなった場合、最初に妻が行い、その次に子供、夫の両親、夫の兄弟姉妹といった順番になります。 - ■湯灌
- 「末期の水」を行った後、故人の身体をきれいにする湯灌(ゆかん)を行います。これは遺体を清めるために行うものです。本来は、水を入れたたらいの中に湯を入れ、この中で遺体を洗い清めるものでした。こうしたやり方は現在ではほとんど行われていません。現在は、遺体をアルコールなどを染み込ませたガーゼなどで全身を拭くようになっています。そして遺体の鼻や口に脱脂綿を詰めます。
- ■衣服の着せ替えや髪の整髪
- 臨終になったとき家族の手で、故人の寝巻を着替えさせ整髪します。
着替えの寝巻で最も多く使われるのは木綿の浴衣です。着替えさせるときに注意することは、浴衣のあわせを左前にし、帯の結びを立て結びとすることです。これは古くから行われている習わしで、死者への装いや弔いの飾りつけに関しては、生前中と逆にするしきたりがあるためです。 - ■死化粧
- 衣服を着替えさせたら、死化粧を施します。まぶたを軽くなでるようにして目を閉じ、下あごを持ち上げるようにして口を閉じます。ほほがこけているときは脱脂綿を口に含ませます。男性の場合はひげを剃り、女性の場合は薄化粧を施します。
- ■死亡診断書の受け取り
- 死亡が確認されると、医師がすぐに死亡診断書を書いてくれます。死亡診断書とは、死亡した年月日、死亡した場所、死亡の原因などを書きこむ所定の書類で、医師によってその死因が確認されたことを証明するために発行されます。遺族はこれを受け取り、その用紙内にある死亡届に記入して、役所に提出します。